新法令・通達の解説
- 職場環境の衛生基準の見直し
- 令和3.12.1 厚生労働省令第188号=事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令
事務所における清潔保持や休養のための措置、作業環境を定めた事務所衛生基準規則等が改正され、職場における一般的な衛生基準が見直されました。
現在の知見に基づいて事務作業の区分が3区分から2区分へと変更され、基準が引き上げられました。
・一般的な事務作業
300ルクス以上(改正前:精密な作業300ルクス以上/普通の作業150ルクス以上)
・付随的な事務作業
150ルクス以上(改正前:粗な作業70ルクス以上)
個々の作業に応じた適切な照度は、作業ごとにJIS Z 9110(照明基準総則)などの基準を参照することとされています。
男性用と女性用に区別して設置するという原則は維持されますが、独立個室型の便所を付加する場合の取扱い、少人数の作業場における例外と留意事項が示されました。
・少人数の作業場における例外
同時に就業する労働者が常時10人以内である場合は、独立個室型の便所(男性用と女性用を区別しない四方を壁等で囲まれた1個の便房により構成される便所)を設けることで足りることとされました。
・男性用と女性用に区別した便所を各々設置したうえで付加的に設ける便所の取扱い
男女別の便所を設置したうえで独立個室型の便所を設置する場合は、男性用便所と女性用便所の設置箇所数を算定する際に基準となる当該事業場で同時に就労する労働者数について、独立個室型の便所1個につき男女それぞれ10人ずつ減ずることができるものとされました。
従来の設置基準を満たしている便所を設けている場合は、変更の必要はありません。
作業場に備えなければならない負傷者の手当に必要な救急用具・材料について、一律に備えなければならないとされていた具体的な品目の規定がなくなりました。
照度基準の改正については、令和4年12月1日の施行となります。その他については、公布の日に施行されています。
その他の新法令・通達
- 育児休業の取得状況の公表
- 育児休業の取得の状況の公表制度の新設に伴い、公表の方法と内容が施行規則に規定されました。
- (令和3.11.30 厚生労働省令第184号=育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則の一部を改正する省令)
- くるみん認定の見直し
- くるみん認定について認定基準の改正、不妊治療と仕事の両立に関する認定基準を追加した新類型の創設などの見直しが行なわれました。
- (令和3.11.30 厚生労働省令第185号=次世代育成支援対策推進法施行規則の一部を改正する省令)
- 適正な下請契約の要請
- 建設業での下請契約を締結する際に、法定福利費と労務費の適正な確保を求める通達が建設業者団体に送付されました。
- (令和3.12.1 国不建推第37号、国不専建第26号=下請契約及び下請代金支払の適正化並びに施工管理の徹底等について)
- 限度超過車両の新たな通行制度への対応
- 登録を受けた限度超過車両の新たな通行制度の運用についての規定整備が行なわれました。
- (令和3.12.8 政令第325号=道路法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備に関する政令)
- 予防接種証明書の電子交付
- 予防接種法施行規則に予防接種証明書を電子交付する場合についての規定が新設されました。
- (令和3.12.8 厚生労働省令第190号=予防接種法施行規則の一部を改正する省令)
- 特許料等の改定
- 改正特許法の施行に伴い、特許料等が引き上げられています。
- (令和3.12.24 政令第344号=特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令)
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック