新法令・通達

新法令・通達の解説

(平成23年9月1日までの公布分)

企業型確定拠出年金の加入資格年齢を引上げ、加入者自身の掛け金拠出が可能に
平成23年8月10日法律第93号=国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律

将来の無年金・低年金の発生を防止し、国民の高齢期における所得の確保をより一層支援する観点から、国民年金法、厚生年金保険法、確定給付企業年金法、確定拠出年金法の一部が改正されました。主なポイントは、以下のとおりです。

国民年金法の一部改正

(1) 国民年金保険料の納付可能期間を2年から10年に延長する(3年間の時限措置)

(2) 第3号被保険者期間に重複する第2号被保険者期間が新たに判明し、年金記録が訂正された場合、それに引き続く第3号被保険者期間を保険料納付済期間として取り扱う

(3) ;国民年金の任意加入者(加入期間を増やすために60~65歳の間に任意加入した者)について国民年金基金への加入を可能とする

厚生年金保険法の一部改正

(1) 事業主が事業譲渡を行ない従業員を減少させる場合、この減少に伴って他の事業所に係る掛け金が増加するときは、その増加相当額を掛け金として一括拠出できることとした

(2) 厚生年金基金が解散する際、返還する代行部分に要する費用の額、支払い方法の特例を設ける(5年間の時限措置)

確定給付企業年金法の一部改正

(1) 60~65歳で退職した者についても退職時の年金支給を可能とする

(2) 事業主、企業年金基金は、加入者に関する記録等の情報収集業務を企業年金連合会に委託できる

確定拠出年金法の一部改正

(1) 加入資格年齢を60歳から65歳に引上げ、企業の雇用状況に応じた柔軟な制度運営を可能とする

(2) 企業型でも加入者の拠出を可能とし、所得控除の対象とする。また、事業主による加入者に対する継続的投資教育の実施義務を明文化することにより、加入者の自主努力を支援する

(3) 企業年金の未請求者対策を推進するため、住基ネットから加入者の住所情報の取得を可能とすることにより、住所不明者の解消を図る


この法律は、一部を除いて公布日から施行されています。

その他の新法令・通達

◎ 労働保険事務組合の報奨金の申請期限を一部延長
岩手県、宮城県、福島県に主たる所在地を有する労働保険事務組合等に対して、平成23年度に交付する報奨金の申請期限を、平成23年9月15日から平成24年1月31日に延長することとしました。
この省令は、公布日から施行されています。
(平成23.8.4厚生労働省令第101号=労働保険事務組合に対する報奨金に関する省令の一部を改正する省令)
◎ 障害者基本法を改正
就職や教育などあらゆる機会での差別を禁じた「障害者の権利条約」批准に向け、障害者基本法の一部が改正されました。
法律の目的や障害者の定義が見直されたほか、療育、選挙、司法手続きにおける配慮についての規定が新設されました。
この法律は、一部を除いて公布日から施行されています。
(平成23.8.5法律第90号=障害者基本法の一部を改正する法律)
◎ 徴収法におけるメリット収支率の特例を新設
東日本大震災により業務災害に関する保険給付の支給件数が増加することに配慮して、当分の間、メリット収支率の算定に当たり算入すべき保険給付、特別支給金の範囲に関する特例が設けられました。
この省令は、公布日から施行されています。
(平成23.8.11厚生労働省令第105号=労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令)
◎ 特定高度通信設備の特別償却の適用を受ける資産を指定
租税特別措置法により、特定高度通信設備の特別償却の適用を受ける減価償却資産として、以下のものが指定されました((2)~(5)までに掲げるものについては、(1)と同時に設置するものに限ります)。

(1) サーバー用の電子計算機
(2) サーバー用のオペレーティングシステム
(3) 加入者系光ファイバケーブル
(4) ファイアウォール装置
(5) ルーター

この告示は、平成23年8月31日から適用されています。
(平成23.8.30総務省告示第403号=租税特別措置法第44条の5第1項の規定の適用を受ける減価償却資産を定める件)

出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック