新法令・通達

新法令・通達の解説

(平成20年3月3日までの公布分)

派遣元と派遣先を規制する日雇派遣の新指針がまとまる
平成20.2.28厚生労働省告示第36号=日雇派遣労働者の雇用の安定等を図るために派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針を定める件、ほか

 労働者派遣法が施行されて約20年が経ちます。
 この間、数回の規制緩和によって派遣業種が拡大されていくなか、日雇派遣という雇用形態においては、港湾や建設といった禁止業務への派遣や二重派遣が繰り返されるなど、労働者派遣法に違反する行為がかねてより問題視されていました。
 2007年には日雇派遣の大手業者が違法行為を繰り返していたとして、厚生労働省から労働者派遣法に基づく事業停命令を受けるに至りましたが、このほど厚生労働省は、派遣元と派遣先が守るべき指針(ガイドライン)をまとめました。
 主なものは次のとおりです。

雇用の安定
 派遣元と派遣先は、派遣契約の期間や雇用契約の期間をできるだけ長くするなど、雇用の安定を図るための配慮が求められます。

定期的な巡回
 派遣元は派遣先の定期的な巡回、派遣先は一派遣契約について最低一回以上の就業場所の定期的な巡回を行ない、違反行為がないことを確認するとしています。

労働・社会保険に係る手続き
 派遣元は、雇用する日雇派遣労働者の就業の状況等をふまえ、労働・社会保険の諸手続きを適切に行なうとしています。

就業状況の明示
 派遣元は、労働契約の期間、就業の場所、従事すべき業務、労働時間、賃金、退職に関する事項について、書面公布による明示を確実に行なうことが求められます。

教育訓練の機会の確保
 派遣元は、職務遂行に必要な能力を付与するための教育訓練を、派遣就業前に実施しなければなりません。派遣先は、派遣元が行なう教育訓練等に可能な限り協力するように努めるとしています。

安全衛生教育の徹底
 派遣元は、雇入れ時の安全衛生教育を確実に行なわなければなりません。派遣先は、雇入れ時の安全衛生教育の委託の申入れを派遣元から受けた場合には、可能な限りこれに応じるなど、協力と配慮が求められます。

労働条件の確保
 派遣元は、賃金からの不適正な控除を行なわないこと、また、派遣元の指揮監督下にある、日雇派遣労働者の自由利用が保障されていない労働時間は、たとえそれが集合場所から就業場所への移動時間などであっても賃金を支払うことが求められます。


 この告示は、平成20年4月1日から適用されます。

その他の新法令・通達

◎ 特定ものづくり基盤技術に溶射技術を追加
 特定ものづくり基盤技術に、「溶射技術」が追加されました。溶射技術の詳細は、全面改正された「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」に記されています。
(平成20.2.15経済産業省告示第26号=中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針の全部を改正した件)
◎ 雇用政策基本方針を告示
 厚生労働省は、当面5年程度の間、わが国が取り組むべき雇用政策の方向性を示した雇用政策基本方針を告示しました。
 「今後重点的に展開していく具体的な施策の方向性」として、「誰もが意欲と能力に応じて安心して働くことのできる社会の実現」「働く人すべての職業キャリア形成の促進」「多様性を尊重する『仕事と生活の調和が可能な働き方』への見直し」を示しています。
 この告示は平成20年2月29日から適用されます。
(平成20.2.29厚生労働省告示第40号=雇用政策基本方針を定める件)
◎ 政管健保の介護保険料率を1.13%に引下げ
 政府管掌健康保険の介護保険料率が、平成20年3月分(平成20年4月30日納付期限分)以降から1.13%に引き下げられます。
(平成20.2.29社会保険庁告示第3号=健康保険法第160条第11項の規定に基づき政府が管掌する健康保険の介護保険料率を定める件)

出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック