新法令・通達の解説
- 企業のマタニティハラスメント防止措置に関する指針が公表される
- 平成28年8月2日厚生労働省告示第312号=事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針を定める件ほか
男女雇用機会均等法等の改正に伴い、企業のマタニティハラスメント(マタハラ)防止措置義務が新設され、平成29年1月1日から施行されます。
事業主には、妊娠・出産等を理由とする就業環境を害する行為(職場での嫌がらせや不利益な取扱い)を受けた際に労働者が相談できる窓口の設置や、行為者(加害者)に対する処罰規定の明確化などが義務づけられることになりました。
具体的な対応方法は、それぞれの企業に委ねられますが、施行に先立ち、厚生労働省では指針を設けています。
この指針の概要は、以下のとおりです。
マタハラとみなされるのは、妊娠・出産等を理由に女性労働者(契約社員、パートタイマー等を含む)に対して上司や同僚が行なう次のような行為です。
(1)解雇その他不利益な取扱いを示唆する
(2)休業や時短勤務など制度等の利用の請求や利用を阻害する
(3)制度等を利用したことにより継続的な嫌がらせを行なう
なお、業務分担や安全配慮等の観点から、客観的にみて業務上の必要性に基づくものについては、これに該当しません。
事業主はマタハラを防止するため、雇用管理上、次のような措置を講じる必要があるとされています。
(1)マタハラ防止方針の明確化および周知・啓発
(就業規則など職務規律の整備、措置の制度化など)
(2)相談(苦情を含む)に対応する担当者を定めたり、外部機関に窓口を設けるなど、相談内容に応じて適切に対応するために必要な体制の整備
(3)マタハラが起きた場合には、事後の迅速かつ適切な対応
(当事者双方へのヒアリングなど事実関係の把握、紛争に発展した場合の中立な第三者機関による問題処理など)
(4)マタハラの原因や背景となる要因を解消するための措置
(社内体制の整備・見直し、業務の効率化など)
事業者や相談窓口の担当者は、相談者・行為者のプライバシーを保護し、適切な対応をするため、あらかじめマニュアルを定めるなど、必要な措置を講じなければなりません。
また、必要な措置を講じている旨、社内報や社内ホームページなどを使って広報に努めることが求められます。
その他の新法令・通達
- 所得税基本通達の一部改正
- 特定譲渡制限付株式等に関する規定など、平成28年度税制改正に伴う、所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)等の施行に伴い、通達の一部が改正されました。
- (平成28.7.5 国税庁課個2-22 ほか〔法令解釈通達〕=「所得税基本通達の制定について」の一部改正について)
- 財産評価に用いる『基準年利率』(4月~6月分)の公表
- 相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合に用いる『基準年利率』(4月~6月分)が公表されました。
- (平成28.7.7 国税庁課評2-37〔法令解釈通達〕=「平成28年分の基準年利率について」の一部改正について)
- 職業安定法施行規則、労働者派遣法施行規則の一部改正
- 総務省による「申請手続に係る国民負担の軽減等に関する実態調査」に基づく勧告(平成25年11月1日)を踏まえ、職業安定法施行規則等に基づく一部の書類様式の変更等が行なわれ、公布日より施行されています。
- (平成28.7.25 厚生労働省令第131号=職業安定法施行規則及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令)
- 雇用保険法施行規則の一部改正
- 雇用保険法等の一部を改正する法律(平成28年法律第17号)による改正規定のうち、平成29年1月1日に施行されるものにつき、規定が整備されました。
- (平成28.8.2 厚生労働省令第137号=雇用保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令)
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック