新法令・通達の解説
- 雇用保険の賃金日額の上限・下限、保険料率等の見直し
- 平成29.3.31 法律第14号=雇用保険法等の一部を改正する法律ほか
「雇用保険法等の一部を改正する法律」が、3月31日に成立し、就業促進および雇用継続を通じた職業の安定を図るため、雇用保険の賃金日額の下限額等の改正、所定給付日数の改正、失業等給付に係る保険料率の引下げ、育児休業期間の延長、保険料率の引下げ等の措置を講ずることとされました。
主な改正内容は、次のとおりです。
基本手当等の算定に用いる賃金日額について、その下限額が2,460円とされました。賃金日額の上限額については表1のとおりとされました。
また、基本手当の給付率に応じて定められている賃金日額の範囲の額について、表2のとおりとされました。
【表1】賃金日額の上限額
年齢 | 賃金日額の上限額 |
---|---|
60歳以上65歳未満 | 1万5,590円 |
45歳以上60歳未満 | 1万6,340円 |
30歳以上45歳未満 | 1万4,850円 |
30歳未満 | 1万3,370円 |
【表2】賃金日額の範囲
年齢 | 基本手当の給付率 | 賃金日額 |
---|---|---|
60歳未満 | 100分の80から100分の50まで | 4,920円以上1万2,090円以下 |
60歳以上65歳未満 | 100分の80から100分の45まで | 4,920円以上1万880円以下 |
倒産・解雇等により離職した35歳以上45歳未満の者の所定給付日数が150日に、30歳以上35歳未満の者の所定給付日数が120日に引き上げられます。
原則1歳までである育児休業を6か月延長しても保育所に入れない場合等に限り、さらに6か月の再延長(2歳まで)を可能とするため、育児休業給付の支給期間が延長されます。
失業等給付に係る保険料率と国庫負担率について、平成29年から3年間、次のとおり時限的に引き下げられます。
・保険料率0.8%→0.6%
・国庫負担率(基本手当の場合)13.75%(本来負担すべき額である「4分の1」の55%)→2.5%(同10%)
ハローワークや職業紹介事業者等のすべての求人を対象に、一定の労働関係法令違反を繰り返す求人者等の求人を受理しないことが可能とされ、虚偽の求人申込みが罰則の対象となりました。
施行日は、一部を除いて平成29年4月1日です。
その他の新法令・通達
- 短時間労働者に対する社会保険の適用拡大
- 4月1日から、従業員数500人以下の特定適用事業所以外の適用事業所においても、労使の合意に基づき、特定適用事業所と同様に、短時間労働者に対する社会保険適用拡大の取扱いを受けることが可能となります。これに伴い、健康保険法施行規則等について、所要の規定の整備が行なわれました。≫ 詳しい情報はこちら[PDF](厚生労働省)
- (平成29.3.9 厚生労働省令第15号=健康保険法施行規則等の一部を改正する省令)
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック