新法令・通達の解説
(令和3年1月29日までの発表・公布・施行分)
- 保険募集時の情報提供についての規制緩和
- 令和3.1.21 内閣府令第2号=保険業法施行規則の一部を改正する内閣府令
保険業法は、保険契約者等の保護に資するため、保険契約の内容その他保険契約者等に参考となるべき情報の提供を行なわなければならないと規定しています。
その情報提供の方法について、その一部は物理的な書面による交付が求められていました。業界からの規制緩和の要望が強かったことから、このたび保険業法施行規則が改正され、原則としてすべての保険契約について、電磁的方法による情報提供が可能になりました。
●顧客の承諾が前提
具体的な改正の内容は、次のとおりです。
保険募集時に保険会社等が保険契約者等に情報提供が必要な事項について、次のような取扱いができるようになります。
(1)電磁的方法による交付方法が認められておらず、書面による交付が義務づけられている「変額保険」「外貨建保険」および「転換契約」等にかかる一部の事項を説明する書面について、顧客の承諾を得たうえで電磁的方法により提供することができること
(2)電磁的方法による情報提供が可能な方法として、「電子メール」「ダウンロード」「CD-ROM」が認められているところ、これに「顧客専用ページ(例:ID、パスワードによる認証)の閲覧」「一般に閲覧可能なページ(例:保険会社のホームページ)の閲覧」を追加すること
●利便性の向上に期待
この改正によって、Webを介した手続きなどでの利便性の向上が期待されます。
この内閣府令は、公布の日に施行されています。
なお、金融庁は電磁的方法により情報提供する場合の留意点等について、「保険会社向けの総合的な監督指針」等の一部改正にて別途明確化するとしています。
その他の新法令・通達
- 技能実習の対象作業拡大
- 外国人の技能実習の指定作業にRPF(紙、プラスチックなどの廃棄物を主原料とした固形燃料)の製造作業が追加されました。
- (令和3.1.8 法務省・厚生労働省令第1号=外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則の一部を改正する省令)
- 技能実習生への情報開示
- 監理団体等が技能実習生や実習生になろうとする者に明示すべき労働条件に、所定労働時間を超える労働の有無等が追加されています。
- (令和3.1.8 法務省・厚生労働省告示第1号=監理団体及び団体監理型実習実施者等が労働条件等の明示、団体監理型実習実施者等及び団体監理型技能実習生等の個人情報の取扱い等に関して適切に対処するための指針の一部を改正する告示)
- 船員の最低賃金引上げ
- 海上旅客運送業最低賃金が引き上げられ、遠洋及び近海区域の船舶等の場合は、職員24万6,800円、事務部職員19万2,700円、部員18万5,350円となります。
- (令和3.1.20 国土交通省最低賃金公示第2号=船員の特定最低賃金の改正決定に関する公示)
- バリアフリーへの対応
- 改正バリアフリー法の施行に伴い対象となる設備の定義等、関係政令が整備されています。
- (令和3.1.20 国土交通省令第1号=高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う国土交通省関係省令の整備に関する省令)
- 特定DPF法は2月1日施行
- 特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律の施行期日が令和3年2月1日と定められました。
- (令和3.1.29 政令第16号=特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律の施行期日を定める政令)
- 情報開示のデジタル化
- 株主に対する事業報告についてのWeb開示によるみなし提供制度に関する会社法施行規則の改正が行なわれています。
- (令和3.1.29 法務省令第1号=会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令)
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック