新法令・通達

新法令・通達の解説

(平成23年11月2日までの公布分)

高額療養費の支給について外来療養等の場合にも現物給付の仕組みを導入
平成23年10月21日政令第327号=健康保険法施行令等の一部を改正する政令

健康保険法施行令等の改正により、高額療養費の支給について、入院療養等の場合だけでなく外来療養等の場合においても現物給付の仕組みが導入されました。

高額療養費制度とは

高額療養費制度とは、高額な医療費の支払いにより家計が破綻しないよう、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、1か月で一定額(自己負担限度額)を超えた場合、その超えた金額を支給する制度です。
たとえば、1か月間に同一医療機関で100万円の医療費がかかった場合、通常であれば3割(30万円)の負担となりますが、高額療養費制度により、70歳未満の一般所得者(月収53万円未満)であれば9万円弱の自己負担ですみます(自己負担となる上限額は、年齢や所得によって異なります)。
原則として、窓口での支払いの後に保険者に申請して支給される仕組みとなっていますが、医療機関等から入院療養を受けた場合は、事後に申請しなくても、一定額を超えた額については窓口で支払わなくてよい仕組み(現物給付制度)が設けられています。

改正の主なポイント

今回の改正の主なポイントは、以下のとおりです。

(1)外来療養等を受けた際の現物給付化
高額な医療費等がかかる患者の負担を軽減するため、従来の入院療養に加え、外来療養についても、同一医療機関での同一月の窓口負担が自己負担限度額を超える場合は、患者が高額療養費を事後に申請して受給する手続きに代えて、保険者から医療機関に支給することで、窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめる取扱い(現物給付化)が導入されました。

(2)その他関係政令の改正
防衛省の職員の給与等に関する法律施行令、船員保険法施行令、国家公務員共済組合法施行令、国民健康保険法施行令、地方公務員等共済組合法施行令、高齢者の医療の確保に関する法律施行令、私立学校教職員共済法施行令についても、(1)に準じた改正が行なわれます。
なお、この政令は、平成24年4月1日から施行されます。

その他の新法令・通達

◎ 特定非営利活動促進法施行令等を制定
平成23年6月に行なわれた特定非営利活動促進法の改正に伴い、同法施行令、ならびに同法施行規則が制定されました。
この政令ならびに府令は、平成24年4月1日から施行されます。
(平成23.10.14政令第319号=特定非営利活動促進法施行令ほか)
◎ 法人税法施行規則の一部を改正
法人税法施行令の規定に基づき、同法施行規則について所要の改正が行なわれました。
この省令は、平成24年4月1日から施行されます。
(平成23.10.14財務省令第68号=法人税法施行規則の一部を改正する省令)
◎ 日本国政府とケイマン諸島政府との間の協定は11月13日に効力発生
脱税の防止のための情報の交換および個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とケイマン諸島政府との間の協定が締結されました。
この協定は、平成23年11月13日に効力が発生しています。
(平成23.10.19外務省告示第356号=脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とケイマン諸島政府との間の協定の効力発生に関する件)
◎ 地方税法施行規則、地方法人特別税等に関する暫定措置法施行規則の一部を改正
地方消費税等の規定の一部について、所要の改正が行なわれました。
この省令は、平成23年10月31日から施行されています。
(平成23.10.31総務省令第147号=地方税法施行規則及び地方法人特別税等に関する暫定措置法施行規則の一部を改正する省令)
◎ 職業能力開発促進法に基づく技能検定制度の対象職種を見直し
技能検定制度の対象となる職種が見直されるなど、職業能力開発促進法施行令ならびに同法施行規則の一部が改正になりました。
この政令ならびに省令は、一部を除いて平成23年11月2日から施行されています。
(平成23.11.2政令第335号=職業能力開発促進法施行令の一部を改正する政令ほか)

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