新法令・通達の解説
- 会社分割に伴う労働契約の承継等のルールを整備
- 平成28年8月17日厚生労働省令第140号=会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律施行規則の一部を改正する省令ほか
「会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律」(「労働契約承継法」)施行規則の一部改正にあわせ、分割会社及び承継会社等が構ずべき当該分割会社が締結している労働契約及び労働協約の承継に関する措置の適切な実施を図るための指針(「労働契約承継法指針」)も一部改正が行なわれ、9月1日から施行、適用されています。
また、「事業譲渡又は合併を行うに当たって会社等が留意すべき事項に関する指針」(「事業譲渡等指針」)が新たに公表され、同日より適用されています。
概要は、以下のとおりです。
分割会社による労働者への通知事項に、対象労働者の労働契約が承継会社等(承継会社および新設会社)に承継される場合には、労働条件はそのまま維持されることを通知する旨が追加されました。
この改正法の施行に伴い、読替規定を設けるなど所要の改正も行なわれます。
会社法等の法整備の状況や、組織の変動にかかる判例の蓄積等をふまえ、労働者保護の観点から一定の対処が必要な事項が生じているということから、次のような点について追記がなされました。
(1)会社法の制定による会社分割制度の改正等をふまえた対応
会社分割の対象となる事業単位の明記や、商法等の一部を改正する法律附則5条に規定する分割会社と労働者との個別協議(「5条協議」)の対象に、承継される不従事労働者を加えることなど
(2)「5条協議」の法的意義に関する判例等に留意すべきこと
(3)転籍合意により労働契約を移転する場合に、法手続きは省略できないこと
(4)労使間の協議等に関する留意事項
団体交渉に関する判例等に留意すべきことなど
会社等が、事業譲渡または合併を行なう際、事業譲渡における労働契約の承継に必要な労働者の承諾の実質性を担保するとともに、労働者と使用者の間で納得性を高めることなどにより、事業譲渡・合併の円滑な実施と労働者の保護に資するよう、会社等が留意すべき事項について定められました。
その他の新法令・通達
- 類似業種比準価額計算上の業種目別株価等の一部改正
- 平成28年分の相続税・贈与税の申告のため、取引相場のない株式を類似業種比準方式により評価する場合の算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額、株価が定められました。
- (平成28.8.5 国税庁課評2-39法令解釈通達=「平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について)
- 熊本地震に伴う特例措置
- 平成28年熊本地震により急激に事業活動の縮小を余儀なくされた指定区域内の事業所の休業等に係る雇用調整助成金の支給上限日数が100日から300日に引き上げられました。
- (平成28.8.5 厚生労働省令第138号=雇用保険法施行規則の一部を改正する省令)
- 職業安定法施行規則等の一部改正
- 「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」の一部施行により、職業安定法および雇用対策法の改正規定が施行されることから、関連する各施行規則についても所要の改正が行なわれました。
- (平成28.8.19 厚生労働省令第142号=職業安定法施行規則等の一部を改正する省令)
- 職業紹介事業者等に対する指針等の一部改正
- 労働条件の明示や均等待遇など、職業安定法が定める事業者の責務に関して、事業者等が適切に対処するために必要な指針等が一部改正されました。
- (平成28.8.19 厚生労働省告示第321号=職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者、労働者供給事業者等が均等待遇、労働条件等の明示、求職者等の個人情報の取扱い、職業紹介事業者の責務、募集内容の的確な表示等に関して適切に対処するための指針等の一部を改正する告示)
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック