新法令・通達

新法令・通達の解説

(平成20年7月3日までの公布分)

中小企業が持つ売掛金債権の早期現金化を支援する制度を創設
平成20.6.11法律第61号=中小企業信用保険法の一部を改正する法律、ほか

 中小企業金融に関連する3法(中小企業信用保険法、中小企業金融公庫法、信用保証協会法)が改正されました。主な内容は次の通りです。

資金繰り支援
 手形を利用する場合は割引による早期現金化の手段があります。しかし、売掛金債権の比重が増加している昨今では機動的な現金化が困難なために、中小企業の資金繰り負担が大きくなっています。
 こうした状況を受けて、売掛金債権を早期現金化する支援策が講じられました。「特定支払契約保険」という新たな保険制度を創設するほか、中小企業金融公庫の業務に売掛金債権の早期現金化の支援が追加されます。

再生支援
 近年、中小企業の倒産が増加傾向にあり、地域経済にも大きな影響が出ていることから、中小企業の再生ニーズが増大しています。
 地域における中小企業の再生支援強化策の一環として、信用保証協会の業務に「債権の譲受り」「再生ファンドへの出資」などが追加されます。

創業・新分野挑戦支援
 創業期や新分野挑戦時の中小企業は、資金調達が重要課題となります。特に、手持ち資金の少ない創業期は相対的にリスクが高く、死活問題になりかねません。
 中小企業の負担を軽減するため、信用保証協会の業務に「新株予約権の取得」が追加されます。これにより、信用保証協会は、中小企業から保証料の負担を受ける代わりに新株予約権を引き受けることができるようになります。


 中小企業信用保険法の一部を改正する法律については、公布の日から起算して3か月を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。

その他の新法令・通達

◎ 保険法が成立
 商法の保険契約に関する規定が焼く100年ぶりに見直され、「保険法」という新法として独立することになりました。
 これまで保険加入時に契約者が病歴などを“自発的”に申告することが求められていた「告知義務」を、保険会社の質問事項に答える形式の「質問応答義務」とするルールが整備されるほか、いわゆる第3分野保険と呼ばれている傷害保険、医療保険といった障害疾病定額保険についての規定も新設されます。
 保険契約に関する法整備がなされることで、告知義務違反を口実とした保険会社による不当な保険金の不払いなどのトラブルを、未然に防止できる効果が期待できます。
 この法律は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。 (平成20.6.6法律第56号=保険法)
◎ 温対法を一部改正
 温室効果ガス排出量を、2008年から2012年までの間に基準年(1990年)比で6%削減するとした「京都議定書目標達成計画」に必要な諸施策を導入するための法改正がありました。
 今回の改正により、事業者の事業活動による温室効果ガス排出の抑制を求める指針が策定されたほか、一定規模以上の事業者には排出量の報告義務が課せられます。
 この法律は、一部の規定を除き、平成21年4月1日から施行されます。 (平成20.6.13法律第67号=地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律)
◎ 訪問販売等の規制を強化
 悪質な勧誘販売行為やクレジット会社の不適正与信、クレジットカード情報の漏洩、インターネット通信販売での返品を巡るトラブルなどが増加していることを受けて、訪問販売、クレジット契約、インターネット取引などの規制を強化する法改正がありました。
 この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して1年6か月を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。
(平成20.6.18法律第74号=特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律)

出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック