新法令・通達の解説
(平成26年3月4日までの公布分)
- 労災保険に係る事業細目を再編
- 平成26年2月25日厚生労働省告示第40号=労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の規定に基づき労災保険率表の細目を定める件の一部を改正する件
労災保険の保険料は、事業主が支払った賃金総額に労災保険率を乗じて算出され、全額が事業主負担となります。
労災保険率は業種によって異なり、労働災害が発生する率に応じて区分され、さらに事業細目を設けて分類されています。
全体の事業細目は283にのぼります。また、そのうち57%にあたる160を製造業が占めています。
従来よりこれを整理すべきとの意見が多かったほか、労働人口が増えている業種については、さらに細目を増やすべきとの声も出ていました。
そこでこのたび、「製造業」と「その他の各種事業」の事業細目が整理されました。
以下、それぞれのポイントについてみていきます。
【1】製造業の事業細目を再編
製造業では、次のような理由から、現在ある160の事業細目が廃止されました。
- 製造業全体の保険規模が縮小しており、今後とも新たな区分を新設する可能性が低い
- 事業細目を細かく分類しても、労働災害統計として活用する例がない
- 労災保険実務の簡素化につながる
【2】その他の各種事業に係る事業細目の再編
- 情報サービス業については、労働者数が増加していることから、日本標準産業分類の中分類「情報サービス業」「インターネット付随サービス業」を範囲とする「情報サービス業」を新設する
- 医療保健業については、労働人口が拡大していることから、「医療業」と「社会福祉又は介護事業」に分離する
- 従来、幼稚園は教育業、保育所は医療保健業、認定こども園については教育業、医療保健業のどちらか主たる事業に区分していた。これを労災保険実務の簡便性を高める見地から、「幼稚園」「保育所」「認定こども園」の事業細目を新設する
この規定は平成26年4月1日から適用されます。
平成27年度の労災保険率改定までに、さらなる業種区分の統合が検討される予定です。
その他の新法令・通達
- 特定ものづくり基盤技術高度化指針の改正
- 中小企業が成長分野に直接参入しやすくなるよう特定ものづくり基盤技術高度化指針が改正されました。
- (平成26.2.10経済産業告示第25号=中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針の全部を改正した件)
- 有料職業紹介事業者の最高手数料額を見直し
- 消費税率の引上げに伴い、有料職業紹介事業者の手数料の最高額が見直されました。施行日は、平成26年4月1日です。
- (平成26.2.18厚生労働省令第11号=職業安定法施行規則及び建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令)
- 労働保険徴収法の一部が改正
- メリット制の算定に使われる第一種調整率に船舶所有者の事業に係る率が新設されました。
- (平成26.2.20厚生労働省令第12号=労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令)
- 日雇特例被保険者の保険料額が変更
- 介護保険料率の引上げに伴い、介護保険第2号被保険者である日雇特例被保険者の保険料額等が変更になりました。この規定は、平成26年4月1日から適用されます。
- (平成26.2.27厚生労働省告示第44号=日雇特例被保険者に関する保険料額並びに日雇特例被保険者の負担すべき額及び日雇特例被保険者を使用する事業主の負担すべき額の一部を改正する件)
- 労災保険の書式が一部変更
- 労災保険における療養補償給付たる療養の給付請求書等の書式について、和暦から西暦への変換を正しく実施するため元号欄の追加等の変更が行なわれました。この規定は、平成26年3月31日から適用されます。
- (平成26.2.27厚生労働省告示第45号=労働者災害補償保険法の施行に関する事務に使用する文書の様式を定める件の一部を改正する件)
- 雇用関係助成金の一部が拡充
- 雇用保険に係る労働移動支援助成金、キャリアアップ助成金などが拡充されました。施行日は、一部を除いて平成26年3月1日です。
- (平成26.2.28厚生労働省令第14号=雇用保険法施行規則の一部を改正する省令)
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック