新法令・通達

新法令・通達の解説

(平成24年10月3日までの公布分)

継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みを廃止
平成24年9月5日法律第78号=高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律

老齢厚生年金の受給開始年齢の段階的な引上げスケジュールに合わせて、65歳まで希望者全員の雇用確保を実現することを目的として高年齢者雇用安定法が改正されました。
改正の主なポイントは、以下のとおりです。

【1】 希望者全員の雇用が確保されることに
現在、65歳未満の定年を定めている事業主に対して、以下のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を導入することが義務づけられています。
(1)定年年齢の引上げ
(2)継続雇用制度の導入(労使協定により基準を定めた場合は、希望者全員を対象としない制度も可)
(3)定年の定めの廃止このうち、(2)の継続雇用制度の対象となる高年齢者について、事業主が労使協定によって定める基準により限定できる仕組みが廃止されました。

【2】 継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲の拡大
継続雇用制度の対象となる高年齢者が雇用される企業の範囲をグループ企業まで拡大する仕組みが設けられました。
グループ企業(子会社・関連会社)の範囲については、会社法等の定義を参考に厚生労働省令で定めるとしています。

【3】 義務違反の企業に対する公表規定の導入
高年齢者雇用確保措置義務に違反した企業名を公表する規定が設けられました。

【4】 高年齢者雇用確保措置の実施と運用に関する指針の策定
事業主が講ずべき高年齢者雇用確保措置の実施と運用に関する指針が設けられました。

【5】 その他
現在、継続雇用制度の対象者を限定する基準を設けている事業主については、厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢に到達した以降の者を対象に基準を引き続き利用できる12年間の経過措置が設けられました。
この法律は、一部の規定を除いて平成25年4月1日から施行されます。

その他の新法令・通達

◎ 徴収法における還付金の扱いを変更
業務の効率化を図るため、労働保険の超過額の還付手続きが一部簡素化されました。これに伴い、書式類も変更されます。施行日は、平成25年1月1日です。
(平成24.9.11厚生労働省令第125号=労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則及び厚生労働省関係石綿による健康被害の救済に関する法律施行規則の一部を改正する省令)
◎ デリバティブ取引についての規制を整備
日本市場の国際競争力の強化を図るため、デリバティブ取引等に関する規制が整備されるなど金融商品取引法の一部が改正されました。
施行日は、一部の規定を除いて平成24年9月12日から起算して1年6か月を超えない範囲内において政令で定める日です。
(平成24.9.12法律第86号=金融商品取引法等の一部を改正する法律)
◎ 法人税基本通達等を一部改正
平成23年12月と平成24年度の税制改正に対応し、法人税基本通達の一部が改正されました。
(平成24.9.12国税庁課法2-17ほか1課共同=法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)ほか)
◎ 厚生年金基金の資産運用規制を見直し
厚生年金基金の資産運用規制を見直す必要があることから、厚生年金基金規則の一部が改正されました。施行日は、平成25年4月1日です。
(平成24.9.26厚生労働省令第133号=厚生年金基金規則の一部を改正する省令)
◎ 租税特別措置法施行規則の一部を変更
郵政民営化法の改正に伴って名称等が変更(郵便事業株式会社→日本郵便株式会社)されるなど、租税特別措置法施行規則の一部が改正されました。施行日は、平成24年10月1日です。
(平成24.9.28財務省令第59号=租税特別措置法施行規則等の一部を改正する省令)
◎ 雇用保険の対象地域が変更
個別延長給付について、厚生労働大臣が指定する対象地域が変更されました。平成24年10月1日から適用となっています。
(平成24.9.28厚生労働省告示第530号=雇用保険法附則第5条第1項第1号ロの規定に基づき厚生労働大臣が指定する地域の一部を改正する件)

出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック