新法令・通達

新法令・通達の解説

(平成23年2月1日までの公布分)

男女差のある労災保険の「障害等級」を見直し
平成23年2月1日厚生労働省令第13号=労働基準法施行規則及び労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令

2月1日、労災保険の障害等級が変更されるなど、労働基準法施行規則と労働者災害補償保険法施行規則の一部が改正されました。この改正は、公布の日から適用されています。
今回の施行規則の改正は、男女間で格差があった労災保険の障害等級について、その格差を解消することを目指したもの。
業務上の事故によって障害が残った場合、労災保険から「障害補償給付」が支給されます。
その際、「労働者災害補償保険法施行規則」に定める障害等級表に基づいて障害認定が行なわれますが、頭や顔、首といった「外貌(日常的に人目に付く部分、外見)」にやけどや傷跡などが残った場合、従来の規定では、障害の程度が同じであっても男性は女性より低く取り扱われていました。
この規定について、平成22年6月、「男女の障害等級に5等級の差を設けていることは違憲」とする京都地裁判決が確定しました。厚生労働省はこれを受けて、「外ぼう障害に係る障害等級の見直しに関する専門検討会」を設置。同年11月に「性別に関わりなく障害等級を規定する方向で改正するのが適当」とする報告書が取りまとめられました。これをふまえて、障害等級が見直されたものです。
具体的な改正の内容は、以下のとおり。


1. 障害等級の男女差の解消
現在、男女別となっている障害等級について、男性の等級を女性の等級に引き上げ、障害の程度に応じて男女とも同一の等級として評価する

2. 障害等級の新設
医療技術の進展により、傷跡の程度を、相当程度軽減できる障害を、新設する「第9級」として評価する

以下は、障害等級表の改正部分です。

【第7級】
女性の外貌に著しい醜状を残すもの→外貌に著しい醜状を残すもの

【第9級】
外貌に相当程度の醜状を残すもの(新設)

【第12級】
男性の外貌に著しい醜状を残すもの、女性の外貌に醜状を残すもの→外貌に醜状を残すもの

【第14級】
男性の外貌に醜状を残すもの→削除


その他の新法令・通達

◎ 保険料申告書等の様式の変更
労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則、厚生労働省関係石綿による健康被害の救済に関する法律施行規則に基づく関係書類の様式が変更になりました。この省令は、平成23年4月1日から施行されます。
(平成23.1.13厚生労働省令第4号=労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則及び厚生労働省関係石綿による健康被害の救済に関する法律施行規則の一部を改正する省令)
◎ 改正放送法の施行期日が決定
放送法等の一部を改正する法律(携帯電話等の基地局の免許の包括化等)の施行期日が、平成23年3月1日とされました。
(平成23.1.14政令第2号=放送法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令)
◎ 労働安全衛生法施行令の一部を改正
健康診断を行なうべき有害な業務が追加されるなど、労働安全衛生法施行令の一部が改正されました。これに伴い、労働安全衛生規則の一部も改正されました。この政令は、一部を除いて平成23年4月1日から施行されます。
(平成23.1.14政令第4号=労働安全衛生法施行令等の一部を改正する政令ほか)
◎ 男女共同参画基本計画の変更
男女共同参画会議からの答申をふまえ、男女共同参画基本計画が変更になりました。実効性あるプランとするため、具体的な数値目標や日程等を明確にしている点などが特徴です。
(平成23.1.26内閣府告示第1号=男女共同参画基本計画を変更した件)
◎ 労働保険徴収法施行規則の一部を改正
労働保険の保険料の徴収等について、電子申請による手続き等が一部改正になりました。この省令は、平成23年2月1日から施行されました。
(平成23.1.31厚生労働省令第12号=労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則等の一部を改正する省令)
◎ 船員保険法施行規則の一部を改正
船員保険法における障害等級の一部が変更になるなどの改正が行なわれました。この省令は、公布の日から施行されました。
(平成23.2.1厚生労働省令第14号=船員保険法施行規則の一部を改正する省令)

出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック