新法令・通達の解説
- 塩基性酸化マンガン等の取扱事業者に作業主任者選任等を義務づけ
- 令和2.4.22 政令第148号=労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令
長期にわたる毒性があるなど、取り扱うことによって労働者に影響をもたらすリスクのある物質は、健康被害等をもたらさないための慎重な取扱いが求められ、特定化学物質としての規制が行なわれています。
特定化学物質の取扱事業者は、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(化審法)によって、製造予定数量等の届出や、容器等に環境の汚染を防止するための措置等に関する事項の表示などの義務が課せられています。
厚生労働省の「化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会」は、労働者への健康障害のリスクが高いと認められる塩基性酸化マンガンと溶接ヒュームについて、第2類特定化学物質として位置づけ、規制が必要とする報告書をとりまとめました。これを受け、労働安全衛生法施行令が改正されています。
特定化学物質のうち第2類物質に、塩基性酸化マンガン等および溶接ヒューム等が追加されます。
塩基性酸化マンガンおよび塩基性酸化マンガンを含有する製剤その他の物、溶接ヒュームおよび溶接ヒュームを含有する製剤その他の物を製造し、または取り扱う作業が、作業主任者を選任しなければならない作業に追加されます。
塩基性酸化マンガン等を製造し、または取り扱う屋内作業場が、必要な作業環境測定を行ない、結果を記録しておかなければならない作業場に追加されます。
なお、溶接ヒューム等に係る業務については、作業環境測定の適用は除外されます。
塩基性酸化マンガン等と溶接ヒューム等を製造し、または取り扱う業務が、有害な業務に従事する労働者に対する医師による特別の項目についての健康診断(特殊健康診断)を行なわなければならない業務に追加されます。
本政令は、令和3年4月1日から施行されます。
その他の新法令・通達
- 自動運転車普及への道筋
- 自動運転車の公道走行を可能にするために必要な安全制度の基準などを定めた道路運送車両法の保安基準が公表されています。
- (令和2.3.31 国土交通省令第20号=道路運送車両の保安基準等の一部を改正する省令)
- 相談員によらない調査を可能に
- 家計調査と労働力調査について、天災等で従来の方法が実施しがたい場合は調査票の郵送による調査を可能にする条文が追加されました。
- (令和2.4.8 総務省令第37号=家計調査規則及び労働力調査規則の一部を改正する省令)
- 雇用調整助成金の拡大
- 新型コロナウイルスに対応するための雇用調整助成金の特例措置が大幅に拡大されました。
- (令和2.4.10 厚生労働省令第83号=雇用保険法施行規則の一部を改正する省令)
- 感染症に関する法人税等の取扱い
- 新型コロナウイルス感染症拡大による入国制限や外出自粛等の影響について、災害の場合の取引先に対する売掛債権等の減免等の取扱いを適用することなどが示されています。
- (令和2.4.13 日付課法2-10ほか2課共同=法人税基本通達等の一部改正について)
- ICTの環境整備
- ネットワークを介した教材の著作権利用についての著作権法改正の施行期日が令和2年4月28日となりました。
- (令和2.4.15 政令第146号=著作権法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令)
- 和牛ブランドの保護
- 和牛ブランドを保護するために、受精卵や精液(遺伝資源)を知的財産とみなして保護を強化する法律が制定されています。
- (令和2.4.24 法律第22号=家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律)
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック