新法令・通達

新法令・通達の解説

(平成22年4月2日までの公布分)

適用範囲を拡大等する雇用保険法の改正
平成22.3.31法律第15号=雇用保険法等の一部を改正する法律

 昨今の厳しい雇用環境をふまえて、非正規労働者に対するセーフティネット機能を強化し、雇用保険の財政基盤を強化すること等を目的として、雇用保険法が改正されました。

雇用保険の適用範囲の拡大
 (1)非正規労働者に対する適用範囲の拡大
 雇用保険の適用基準である「6か月以上の雇用見込み」が「31日以上の雇用見込み」に緩和されます。
 (2)雇用保険に未加入とされた者に対する遡及適用期間の改善(延長)
 事業主が被保険者資格取得の届出を行なわなかったために、雇用保険に未加入とされていた者のうち、2年以上前の時期に、事業主から雇用保険料を控除されていたことが給与明細等により確認された場合には、現行の2年を超えて遡及適用できることとされました。
 これは、事業主が届出を行なわなかったために、所定給付日数が短くなることを防ぐための措置です。
 また、この場合において、事業所全体として保険料を納付していない(保険関係成立の届出を行なっていない)ことが確認されたケースでは、保険料の徴収時効である2年経過後も保険料を納付できることとし、厚生労働大臣はその納付を勧奨するものとされました。

雇用保険2事業の財政基盤の強化
 平成21年度の雇用保険2事業の保険料率は1000分の3.0でしたが、平成22年度は雇用保険2事業の保険料率に係る弾力条項の発動は停止され、原則どおり1000分の3.5(すべて事業主が負担)となります。
 また、雇用保険2事業の財源不足を補い、安定した運営を確保するため、平成22年度と23年度においては、必要に応じて失業等給付の積立金から原資を借り入れる仕組みが暫定的に講じられました。

 改正法は、平成22年4月1日施行です。ただし、雇用保険に未加入とされた者に対する遡及適用期間の改善については、公布日から起算して9か月を超えない範囲内で、政令で定める日から施行されます。

その他の新法令・通達

◎ 企業会計基準の改正
 別表2中、国際財務報告基準(IFRS)第9号「金融商品」の追加など所要の改正が行なわれました。3月10日からの適用です。
(平成22.3.10金融庁告示第26号=連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則に規定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する件の一部を改正する件)
◎ 公立高校の授業料無償化等
 公立高等学校の授業料が無償化され、公立以外の高等学校等については就学支援金が支給されます。4月1日の施行です。
(平成22.3.31法律第18号=公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律)
◎ 子ども手当の支給
 平成22年度は、15歳に達する日以後の最初の3月31日まで、子ども1人当り、1か月につき、1万3千円の子ども手当が支給されます。
(平成22.3.31法律第19号=平成22年度における子ども手当の支給に関する法律)
◎ 雇用保険率の改正
 4月1日より、次のように雇用保険率が引き上げられます。
 ・一般の事業…1000分の15.5(事業主負担=1000分の9.5、被保険者負担=1000分の6)
 ・農林水産・清酒製造の事業…1000分の17.5(事業主負担=1000分の10.5、被保険者負担=1000分の7)
 ・建設の事業…1000分の18.5(事業主負担=1000分の11.5、被保険者負担=1000分の7)
(平成22.4.1厚生労働省告示第152=労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき雇用保険率を変更する件)
◎ 雇用保険関係の様式の改定
 雇用保険被保険者資格取得届の様式改定など、所要の改正が行なわれました。公布日(4月1日)からの施行です。
(平成22.4.1厚生労働省令第54号=雇用保険法施行規則及び雇用対策法施行規則の一部を改正する省令)

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