(平成20年5月2日までの公布分)
悪質な広告表示や訪問販売にも消費者団体訴訟制度を適用
平成20.5.2法律第29号=消費者契約法等の一部を改正する法律、ほか
■ 消費者団体訴訟の適用を拡大
「自宅の玄関に長居して強引に勧誘する」「契約を解除しても支払い代金の返金に応じない」といった悪質商法の被害を防ぐため、2007年6月の改正消費者契約法の施行により、「消費者団体訴訟制度」が導入されています。
消費者団体訴訟制度とは、冒頭に挙げたような事業者の不当な勧誘や契約により被害を受けた者の代わりに、適格消費者団体(内閣総理大臣が適格消費者団体として認定した団体)が、不当な行為に対する差止めを事業者に請求できる制度で、悪質商法の被害に遭っても泣き寝入りするケースが多い消費者を保護する“切り札的存在”として知られています。
この消費者団体訴訟制度が、消費者の保護を図る消費者契約法のほか、過大な景品類の提供や不当な表示について規制した景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)および消費者トラブルが生じやすい特定の取引について規制した特定商取引法においても導入される法改正がありました。
■ 悪質商法の多様化が背景に
消費者団体訴訟制度の適用範囲を拡大する方針を固めた背景には、誤解を与える広告表示や不当な訪問販売・通信販売・電話勧誘販売の増加など、悪質商法が年々多様化している現状があります。
具体的には、次のような例が挙げられます。
- メリットのみを特大サイズの文字で強調し、そのメリットを受けるための条件を極端に小さなサイズの文字で説明したり、わかりづらい場所に記載する
- 誰でもやせられるような誤解を与える広告で消費者を勧誘し、高額な契約を締結する
- 屋根や床下の無料点検を謳いながら、点検後に不安をあおり、耐震補強工事や床下換気扇の取付けなどを強引に勧める
政府は、消費者団体訴訟の適用範囲を広げることなどによりトラブルの防止を図るため、消費者保護に関連する3つの法律を一括して改正することにしたのです。
この改正により、適格消費者団体は、事業者が商品または役務の内容について、消費者が優良あるいは有利と誤認する表示を行なった場合や、悪質な販売行為を行なった場合、差止請求ができることになります。
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この法律は、原則として平成21年4月1日より施行されます。
◎ 特許出願段階のライセンスを保護するための登録制度 |
知的財産権の戦略的な活用を促進する観点から、特許法等の改正が行なわれました。通常実施権等登録制度の見直し(特許の出願段階におけるライセンスを保護するための登録制度の創設等)、特許料金等の引下げといった措置が講じられます。 この法律は、公布の日から起算して3か月を超えない範囲内において政令で定める日から施行される特許料金等の引下げなどを除き、原則として公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。 (平成20.4.18法律第16号=特許法等の一部を改正する法律) |
◎ 平成20年度税制改正 |
平成20年度税制改正に関する法律等が公布・施行されました。 (平成20.4.30法律第23号=所得税法等の一部を改正する法律、ほか) |
◎ 市販の名簿は個人情報保護法の安全管理義務等から除外 |
市販の名簿は、それを有するがゆえに個人情報保護法の安全管理義務等を課せられないようにするため、個人情報取扱事業者から除外される者に追加されました。この政令は公布の日から施行されます。 (平成20.5.1政令第166号=個人情報の保護に関する法律施行令の一部を改正する政令) |
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック