新法令・通達の解説
(平成26年7月4日までの公布分)
- ストレスチェック制度の創設
- 平成26年6月25日法律第82号=労働安全衛生法の一部を改正する法律
労働安全衛生法の一部が改正され、ストレスチェック制度が創設されました。
以下、この制度のポイントをみていきます。
●背景
精神障害の労災認定件数が3年連続で過去最高を更新するなど、労働者の健康状態を把握し、メンタル不調に陥る前に適切な対処を行なう必要性が高まっていました。
●検査の義務付け
労働者の心理的な負担の程度を把握するため、医師、保健師等による検査(ストレスチェック)が事業者に義務付けられました。ただし、従業員50人未満の事業場については、当分の間、努力義務とされています。
●国の責務
国は、ストレスチェックを行なう医師、保健師等に対する研修の充実・強化を行なうとともに、労働者に対する相談、情報提供体制を整備します。
●ストレスチェック制度の具体的な流れ
- (1)
- 労働者に対して、医師または保健師がストレスチェックを行ないます。
- (2)
- 検査の結果については、医師等から労働者に検査結果が通知されます。このとき、労働者の同意を得なければ、検査結果を事業者に提供することはできません。
- (3)
- 検査の結果、労働者が医師による面接指導を受けることを希望する場合は、事業者はこれを行なわなければなりません。
- (4)
- 事業者は面接指導の結果を記録し、それに基づき、労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師の意見を聴かなければなりません。
- (5)
- 事業者は、医師の意見を勘案して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置のほか、適切な措置を講じなければなりません。
今後、厚生労働大臣から指針が公表される予定です。この指針に基づき、事業者に対して必要な指導等が行なわれることになっています。
この規定は、平成26年6月25日から1年6か月を超えない範囲内で政令で定める日から施行されます。
その他の新法令・通達
- 行政不服審査法が全面改正
- 公正性の向上、使いやすさの向上、国民の救済手段の充実・拡大などの観点から、行政不服審査法が全面改正されました。施行日は、一部を除いて平成26年6月13日から2年を超えない範囲内で政令で定める日です。
- (平成26.6.13 法律第68号=行政不服審査法)
- 不当表示に関する監視指導体制を強化
- 事業者の表示管理体制の明確化、不当表示に関する監視指導体制の強化等のため、不当景品類及び不当表示防止法等の一部が改正されました。施行日は、一部を除いて平成26年6月13日から6か月を超えない範囲内で政令で定める日です。
- (平成26.6.13 法律第71号=不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律)
- 高度専門職外国人の在留資格の整備
- 高度外国人材のための新たな在留資格「高度専門職」を創設するなど、出入国管理及び難民認定法の一部が改正されました。施行日は、一部を除いて平成27年4月1日です。
- (平成26.6.18 法律第74号=出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律)
- 改正会社法が成立
- 株主代表訴訟制度の整備、社外取締役による監査の強化等のため、会社法の一部が改正されました。施行日は、一部を除いて平成26年6月27日から1年6か月を超えない範囲内で政令で定める日です。
- (平成26.6.27 法律第90号=会社法の一部を改正する法律)
- 過労死等防止対策推進法が成立
- 過労死のない社会を実現するという目的の下、国、地方公共団体、事業主、国民の責務を定めた過労死等防止対策推進法が創設されました。施行日は、平成26年6月27日から6か月を超えない範囲内で政令で定める日です。
- (平成26.6.27 法律第100号=過労死等防止対策推進法)
- 雇用保険法施行規則に定める様式の一部を変更
- 教育訓練支援給付金に係る様式が変更になるなど、雇用保険法施行規則の一部が改正されました。一部を除いて平成26年7月1日から施行されています。
- (平成26.6.30 厚生労働省令第74号=雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令)
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック