新法令・通達の解説
(平成25年12月4日までの公布分)
- 悪質運転による死傷事故に適用される罰則を強化
- 平成25年11月27日法律第86号=自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
悪質かつ危険な自動車の運転による死傷事故に適用される罰則を強化した自動車運転死傷行為処罰法が成立しました。
従来、刑法で定められていた危険運転致死傷罪、自動車運転過失致死傷罪の規定を新法に移し、その適用範囲を拡大したものです。
ポイントは次のとおりです。
●危険運転致死傷罪
- 1.
- アルコールまたは薬物の影響により正常な運転が困難な状態での事故
- 2.
- 危険な高速度運転による事故
- 3.
- 運転技能がないのに運転したことによる事故
- 4.
- 危険な割込み等による事故
- 5.
- 危険な速度・赤信号を故意に無視する運転による事故
- 6.
- 危険な速度で通行禁止道路を運転したことによる事故
- 7.
- アルコールまたは薬物の影響により正常な運転に支障が生じる恐れがある状態で起こった事故
- 8.
- 自動車の運転に支障を及ぼす恐れがある病気の影響で正常な運転が困難な状態での事故
1~6の行為を行ない、傷害事故を起こした場合は15年以下の懲役、死亡事故の場合は1年以上の有期懲役(最高20年)に処せられます。
7~8については、傷害事故の場合は12年以下の懲役、死亡事故の場合は15年以下の懲役に処せられます。
●過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪
アルコールまたは薬物の影響により正常な運転に支障が生じる恐れがある状態で事故を起こし、アルコールまたは薬物摂取の発覚を免れるために逃亡等をした場合は、12年以下の懲役に処せられます。
●過失運転致死傷罪
自動車の運転上必要な注意を怠ったことで、人を死傷させた場合は、7年以下の懲役・禁固または100万円以下の罰金に処せられます。
●無免許運転に対する加重
以上の事故を起こした際、無免許運転だった場合にはそれぞれ罰則が加重されます。
この法律は、平成25年11月27日から6か月を超えない範囲内で政令で定める日から施行されます。
その他の新法令・通達
- 道路運送車両の保安基準の一部が改正
- 道路運送車両法の規定に基づき、道路運送車両の保安基準の一部が改正されました。施行日は平成25年11月12日です。
- (平成25.11.12国土交通省令第88号=道路運送車両の保安基準等の一部を改正する省令)
- 改正道交法の施行日が決まる
- 改正道路交通法の一部規定の施行日が平成25年12月1日とされました。
- (平成25.11.13政令第309号=道路交通法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令)
- 違反点数に関する規定を整備
- 道路交通法違反の点数に関する規定を整備するなど、同法施行令と自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律施行令の一部が改正になりました。施行日は平成25年12月1日です。
- (平成25.11.13政令第310号=道路交通法施行令及び自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律施行令の一部を改正する政令)
- 津波対策強化地域を指定
- 南海トラフ地震に伴い発生する津波に対して特別強化地域を指定し、所要の事項を定める等の改正が行なわれました。施行日は平成25年11月29日から1年を超えない範囲内で政令で定める日です。
- (平成25.11.29法律第87号=東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律)
- 首都の中枢機能を維持する法律が成立
- 首都圏で地震対策を強化すべき地域を「緊急対策区域」に指定することや、首都機能を維持するための計画策定の規定を定めた特別措置法が制定されました。施行日は平成25年11月29日から2か月を超えない範囲内で政令で定める日です。
- (平成25.11.29法律第88号=首都直下地震対策特別措置法)
- 定形郵便物の上限額を改定
- 平成26年4月からの消費税率引上げに伴い、25グラムまでの定形郵便物の上限料金の額が80円から82円に改定されました。施行日は一部を除いて平成26年4月1日です。
- (平成25.12.2総務省令第100号=郵便法施行規則及び民間事業者による信書の送達に関する法律施行規則の一部を改正する省令)
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック