新法令・通達

新法令・通達の解説

(平成30年2月2日までの発表・公布・施行分)
外国子会社合算税制の改正に伴う合算対象範囲等の取扱いが明らかに
平成29.12.21 付課法2-222ほか2課共同=租税特別措置法関係通達(法人税編)等の一部改正について(法令解 釈通達)

いわゆる「タックスヘイブン」(法人税や源泉課税等が低税率の国や地域)に設置した海外子会社を通じた国際的な租税回避や脱税が、企業の公平な競争条件を損なうものとして、大きな問題となっています。
政府は、日本企業の海外展開を阻害することなく、より効果的に国際的な租税回避を阻止するため、平成29年度税制改正において、外国子会社合算税制の改正を行ないました。
それを受けて国税庁は、法令解釈通達「租税特別措置法関係通達(法人税編)等の一部改正について」を出し、外国子会社合算税制の改正に関する事項について取扱いを定めました。
その主な内容は、次のとおりです。

■合算対象となる外国関係会社の範囲等の見直し

外国関係会社であるか否かを判定する際に求められる間接保有割合について、保有株式50%超の連鎖方式(改正前は掛け算方式)に基づき算定されることとなりました。
また、外国法人の残余財産の概ね全部について分配を請求する権利を有している等の関係がある場合(実質支配基準)におけるその外国法人が外国関係会社の範囲に追加されました。

■ペーパーカンパニー等の合算課税制度の創設

次の外国関係会社について、会社単位の合算課税の対象とされました(租税負担割合が30%以上である場合には適用免除)。

(1)次のいずれにも該当しない外国関係会社(ペーパーカンパニー)
・主たる事業を行なうに必要と認められる事務所等の固定施設を有している外国関係会社
・本店所在地国においてその事業の管理、支配、運営を自ら行なっている外国関係会社

(2)総資産に比して受動的所得の占める割合が高く、事実上のキャッシュボックスとなっている外国関係会社

(3)情報交換に関する国際的な取組みへの協力が著しく不十分な国等(ブラックリスト国)に所在する外国関係会社

■会社単位の合算課税制度の見直し

一定の条件で所得が会社単位で合算される課税制度について、次のように見直されます。

・「トリガー税率」の廃止
・改正前の適用除外基準から「実体ある活動を営む航空機リース業」を除く
・会社単位の合算課税制度の発動基準(経済活動基準)に改組
・租税負担割合が20%以上である場合には適用免除

その他の新法令・通達

  • JAS制度見直しに伴う整備
  • JAS(日本農林規格)制度が見直されることに伴い、JASを制定できる農林物資の拡充や、登録手数料の決定等、所要の整備が行なわれます。
  • (平成30.1.17 政令第3号=農林物資の規格化等に関する法律及び独立行政法人農林水産消費安全技術センター法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令)
  • 被用者年金制度の一元化に伴う経過措置を見直し
  • 平成27年10月1日に施行された「被用者年金一元化法」において、それまで厚生年金と共済年金に分かれていた被用者の年金制度が厚生年金に統一されたことに伴う経過措置について所要の措置が講じられました。
  • (平成30.1.24 政令第8号=被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生年金保険の保険給付等に関する経過措置に関する政令等の一部を改正する政令)
  • 旅館・ホテル営業の施設の構造設備に関する基準の設置
  • 旅館業法の改正により「ホテル営業」と「旅館営業」の営業種別が統合され、新たに「旅館・ホテル営業」が設けられたことから、「旅館・ホテル営業」の施設の構造設備について基準が設けられました。
  • (平成30.1.31 政令第21号=旅館業法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令)
  • 産業廃棄物の処理に係る改正
  • 2以上の事業者が産業廃棄物を処理する際の特例について、帳簿の取扱いや都道府県知事への届出等に関する所要の改正が行なわれました。
  • (平成30.1.31 政令第23号=廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令)

出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック