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これからの法改正の動き

解雇無効時における金銭解決制度の詳細検討へ

解雇が裁判によって無効になった場合でも、職場復帰せずに退職する労働者が一定数存在します。
行政組織によるあっせんや労働審判、民事訴訟上の和解では、その多くが金銭で解決されているのが実態です。
そこで、厚生労働省の有識者検討会では、解雇無効時に金銭解決が可能となる制度についての検討が進められています。
現行の制度では、解雇を不服とする労働者は次の3つの仕組みを利用して、和解に至ることが大半です。

(1)個別労働紛争解決制度
厚生労働省の都道府県労働局・紛争調整委員会のあっせんによる和解(金銭解決)。

(2)労働審判
調停等による金銭解決。

(3)地位確認訴訟
和解し、解決金を支払って労働契約は終了。

これらに加え、労働者が職場復帰ではなく金銭救済を希望する場合、「労働者が解雇無効を申立」→「使用者による金銭の支払い」→「労働契約の終了」という仕組みの導入が検討されています。
現在、議論されている論点は、次のものが挙げられます。

●一回的解決について

紛争の迅速な解決、制度のわかりやすさや利用者の負担などを考慮すると一回的解決(基本的に、1回で解決する仕組み)が可能となるか否か。

●主体のあり方について

労働者による申立だけでなく、使用者による申立も認めるか否か。

●金銭的予見可能性について

金銭の水準について、一定のルールを定めることについてどう考えるか。

・算定の基礎となる考慮要素を明示する方法
・金銭的補償の限度額(上限、下限)を明示する方法
・金銭の算定式を明示する方法

●時間的予見可能性について

金銭解決制度を検討する場合に、期間や回数など、何らかの時間的予見可能性を高めるための方策を講じることについてどう考えるか。
厚生労働省としては、今夏までに一定の結論を出したいとしています。

注目したい法改正の動向

  • 自殺総合対策大綱を見直し
  • 昨年3月に自殺対策基本法が改正されたことを受けて、自殺対策の指針となる「自殺総合対策大綱」の見直しが進められています。ポイントは、次のとおりです。
    ・関連施策の有機的な連携を図り、総合的な対策を推進
    ・地域レベルの実践的な取組みのさらなる推進
    ・若者の自殺対策の一層の推進・過重労働をはじめとする勤務問題による自殺対策のさらなる推進
    ・PDCAサイクルの推進、数値目標の設定
    早急に報告書をとりまとめ、今夏に新たな大綱を閣議決定する予定です。
  • 専修学校での社会人の学び直しを国が支援へ
  • 文部科学省の検討会議は、専修学校が実施する社会人等向け短期課程について、文部科学大臣による認定制度を構築すべきとの報告書をまとめました。
    また、雇用環境、企業に対する奨励金等、社会人の学び直しに向けた企業支援の広がりを促すため、専門実践教育訓練給付金が一層活用されるよう検討が必要としています。
    文部科学省では、2017年度内に短期課程の認定制度を確立する方針です。
  • 飲食業、美容業など厚生年金加入の強化を図る
  • 『日本再興戦略2016』によると、政府は2019年度までに、厚生年金適用漏れ解消のための集中的な加入指導等の一層の強化を図るとしています。
    厚生労働省は、2017年度の社会保険適用促進策の一環として、飲食店営業、食品製造業、理容業・美容業、社会福祉事業などについて厚生年金への加入強化を図る方針です。
    具体的には、以下のような取組みを予定しています。
    ・地方自治体等に対して当該事業所から新規営業許可が申請された際に、保険料の領収書等の提出・提示を求める
    ・確認の結果、社会保険等の適用が確認できなかった場合は、事業所名、所在地等の情報を厚生労働省へ提供する
    ・その情報を日本年金機構等と共有し、対象事業所への加入勧奨を実施する
    厚生労働省は、順次、地方自治体等へ連絡し、2017年7月から実施する予定です。

出典・文責 ≫ 日本実業出版社・エヌ・ジェイ出版販売